現実にDSとして子供たちと日常的に向かい合っている人たちだけを対象としたスキルアップのための講座を2001年3月に開催しました。1日だけの開催でしたが、非常に中身の濃い講座となりました
・日時 2001年3月4日PM2:00〜9:00
・場所 阿佐ヶ谷区民センター及び居B−BAN)
・講師 五十嵐 寿 氏(あい塾主宰/発達共助連アドバイザー連員)
・アドバイザー 伊澤 正雄 先生(大蔵病院セラピスト/発達共助連副代表)
・テーマ 自然から学ぶ−表現するものをもつ−
・参加人数 10名(講師・アドバイザー除く)
講義内容
1.人間の発達−自力で生きる能力の衰退
2.子どもたちが、こわれている!
3.表現するものをもつ
1.人間の発達−自力で生きる能力の衰退
 自然を自らの手で変革し、自然を征服し管理する方向に進み始めてから、環境はあっという間に人工化し、自然破壊がすすんだ。それによって、自力で生きる能力は衰退し、家族も変容した。
 −河合隼雄氏の警告−「クモの巣にかかったチョウがもがきながら体液を吸い取られているように、子どもたちはもがきながら精神を衰弱させていく」「密室から出て物との対話からはなれ、命あるものとの対話で日常を楽しむようにしないと、感性はうるおいを失って無機的になり、やがて萎縮する」
 −レイチェル・カーソンのことば−「子どもたちへの一番大切な贈り物は、美しいもの、未知なるもの、神秘的なものに目を見張る感性です。その感性を育むために子どもと一緒に感覚の全てを傾けて、自然と触れ合いましょう」
という二人の言葉が、どこから子どもと向き合ったら良いのかを考える視点となるだろう。

2.子どもたちが、こわれている!
 3〜4年を担当してきて、4度目に出会った子どもたちには3年生特有のエネルギッシュさが全く見られなかった。しかし、まわりの物事(自然・社会・人間)が見えていない子どもたちも、工夫した働きかけをすることでやる気をおこした。心を開けば喋りたくなり、感動を持てば喋りたくなり、話を聞けばその物事を自分も見たくなり新しい事実を知り、疑問が出ればそれを解決したくなる子どもに育っていった。

3.表現するものをもつ
 人間が生まれながらもつ動物的な本能である「たんけんすること」を欠いてはいけない。自分を含めた自分のまわりの物事(自然・社会・人間)に働きかける能動性、物事の何たるかを知る感性、その感動を伝えようとする表現性、当然おこる対話(コミュニケーション)。これが人間の土台作りに欠かせないことだ。
DSとして出会っている子どもたちにぜひ加えてほしいことは自分のまわりの自然、社会、人間に働きかけるきっかけを作ること。働きかけて出会った事実に感動し、不思議さに心躍る体験をさせてほしい。自然の中に連れ出してほしい。

Gアドバイザー伊澤先生の話
 自分のまわりのものに名前を付けるのは、個別化し、個性を感じ取ることだ。区別できることば、感性があるから分けられる。
 今の子どもたちは受験知識はあっても、ものを見るときの見え方は認識されていない。
自分の感情を外へ向けて遊ぶ経験が少ないと自分から知ろうとする姿勢は作れない。

H会の様子
五十嵐先生は一つ一つの事柄をご自分の実践されたことから具体的に話され、参加者は皆、自分の現在と照らし合わせながら聞いていた。またあい塾で展開なさっていることを私たちにもやってくださり、事実と出会う楽しさ・感動を味合わせて下さった。休憩時間をとうとうとらず、4時間近くも全員が五十嵐先生のとりこになっていた。