ディベロップメンタル・サポーター(DS)独自の勉強会は、年2〜3回、開催されていますが、このホームページに掲載すべき原稿がなかなか集まりません。ここでは1999年度の第1回目の勉強会の模様を報告します。

◆1999年度第1回DS勉強会報告

報告者: 川戸由季(1999年度DS連代表)
日 時: 平成11年7月23日(金)   7:00〜
場 所: 阿佐ヶ谷ボランティアセンター
参加者: 計12名

発表者: 加藤弘通さん

「メンタルサポーターの経験を通じて」

去る7月23日、今年度第一回目のDS連学習会を開催いたしました。参加者は全部で12名、大学で心理学を学ぶ学生だけでなく、DSの活動に興味や関心を抱いている人が集うことで、お互いの時間を分かち合えたことを大変うれしく思います。
まず、今年度のDS連の活動方針について記述したいと思います。柔軟にニーズに対応して行くことを前提にして、主に、ケースについての活動報告を中心に進めていきたいと考えております。知識的な情報は、本人が興味を持ったときに、本などから得ることができますが、DSとして活動する時に実際に役立つのは、同じような経験を持つ人の体験談なのではないかと思われます。個人が経験したこと、感じたこと、工夫した点、また、生じた問題などについて報告していただき、それについてディスカッションすることで得られるものは、書物からでは得ることのできない、しかし大変に価値があるものではないでしょうか。また、活動を報告することで、報告者が現在の状態を把握するための良い機会になるのではないか、とも考えられます。しかし、何よりも一番重要なことは、お互いに交流する場を持つことではないでしょうか。共助連の精神にも通じますが、人と人とが直接に関わり合うことで、成長していけたらいいなぁ、と思っております。これからもお互いに刺激しあい、高め合っていきましょう。
さて、今回は、加藤弘通さんに、八王子市でのメンタルサポーターとしての経験から学んだことについて報告していただきました。加藤さんは、お子さんとの9ヶ月における関わりの中から2つの問題を取り上げて、考察していました。第1の問題は、会うことについて動機づけがほとんどない(自分と会いたいと思っていない)お子さんと会うには、どうしたらいいのか、そして、第2の問題は、お子さんが時々イライラすることがあり、そのようなとき、どのように対応すればいいのか、という問題です。第1の問題に対して、加藤さんは、「相手の人の気持ちをもっと大袈裟に言って返す」ということを、ラポール(信頼関係)を形成する手段のひとつとして提案していました。確かに、こちらが相手の気持ちを言葉で表現することで、相手は、「自分の気持ちをわかってくれている」という感じを抱くかもしれません。そしてこのことが、ありのままの自分自身が受け入れられているという安心感につながり、信頼関係を築く際に効果的に働くのではないか、と感じました。2つ目の問題(相手がイライラする)に対して、加藤さんは、それを相手だけの問題とせず、自分と相手との関係の中で生じたものとして受け入れることが重要である、とおっしゃっていました。私もそうですが、何かの問題が生じた時に、問題の原因が相手にあるものと思い込みがちです。また、そのような原因追及は、「悪いのは自分ではなく、相手である。」と思うことで、自分が安心し、結局のところ、問題の内容そのものを見落としてしまうかもしれません。関わり合っている時間の中で行われた活動や、感じた感情を、相手だけのもの、または自分だけのものとせず、お互いの相互作用から生じたものととして捉えていく。この考え方は、ケースとの関わりにおいてだけでなく、人と人とが関わり合うときすべてにあてはまる重要なことなのではないか、と感じました。
発表全体を通して最も強く感じたことは、自分を知ることがいかに大切か、ということです。結局、何かの問題を考えるときに、そこに自分のいう存在を抜きにして考えると、判断を誤るおそれが生じてくるのではないか、と感じられました。自分を客観的に見つめ直し、たとえ好ましくない感情や、認めたくない欲求を抱いているとしても、それをありのままに受け入れていくことで、ひいては、自分の存在を自分で認める、ということにつなっがっていくのではないでしょうか。まずは、自分を知り、自分を認めることが、相手と適切な関わりを持つための第一歩であるように感じました。
貴重な体験を報告して下さった加藤さんに、この場を借りて、感謝いたします。


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