2000年度に、リーバイ・ストラウス・コミュニティ活動推進基金の助成を得て、実施したディベロップメンタル・サポーター(DS)養成・技術向上講座の概要は次の通りです。

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開催日時:2000年6月30日(金)〜7月2日(日)の3日間に集中的に行いました。
場所:杉並区立産業商工会館

カリキュラム:以下のカリキュラムで実施しました。

6月30日(金)19:00〜21:00
       テーマ: 「<人の発達を考える>―幼児期までの様子から―」
          講師:加藤 啓 先生
          (彰栄保育福祉専門学校兼任教員、海老名市適応指導教室スーパーバイザー)

7月 1日(土) 9:30〜12:30 
       テーマ: 「教育の中の関係―援助・子ども―」
          講師:東 宏行先生(放送大学非常勤講師)
        

        13:30〜16:30
       テーマ:「 DSへのメッセージ」
          講師:依田 好照先生
           (早稲田実業小学校準備室長、元・明星学園小中学校校長)

7月 2日(日) 9:30〜12:30  
       テーマ:「発達障害を持つ子供の理解と対応」
          講師:名越 斉子先生
           (旭出学園教育研究所研究員)
        

         13:30〜16:30  
       テーマ:「不登校…概論およびDSとしての留意点」
          講師:馬場 康宏先生
           (埼玉県さわやか相談員、ディベロップメンタルサポーターOB)

1.<人の発達を考える>―幼児期までの様子から―

講師:加藤 啓 先生
[内容]
<赤ちゃんの能力>、<外界をどのようにして知るようになるか>、<愛着行動と親の養育行動>、<自我(自己意識)の芽生え>、<遊び>、<大事な子育て環境とは>、というようにポイントを絞りながらも、人はどのように人間になっていくのか、具体的に展開された。
“人間は、呼べば応えるという応答性のある環境で育てること”
“一人の人間が、しっかり向き合っていかなければならないこと”
“人間は長く、手間暇かけて育てることで人間になっていくこと”を
現時点までの研究の成果をもとに加藤先生の考えをおりまぜながら論じられた。

2.教育の中の関係―援助・子ども―

講師:東 宏行 先生
[内容]
ヨーロッパにおける、子ども観形成の歴史的背景、日本における子供観の歴史的背景、現在の日本の子ども達の実像について、『子ども、大人、援助者といった存在は、個体として実在するのではなく、関係の中で成立してくる』という視点から展開された。
それぞれの時代に、なぜそのような人間観、子供観が存在したか、現代の子どもたちの状況の背景は何なのか、などについても事例をあげて論じられた。
流行語のようになっている”援助”については、教育学上の論議と、先生自身の実践に基づき、本来の意味、向かうべき方向、言葉上の危険性などについて論じられた。

3.DSへのメッセージ

講師:依田 好照 先生
[内容]
依田先生の生徒だったKさんからの手紙についてのお話を皮切りに、”『人間』をどう見るか””DSの要件とは何か”について講義された。
”『人間』をどう見るか”では、シュタイナー、大江健三郎、唯円の著作をあげながら、そこに書かれている考えの深さについて論じられ、DSの人たちは、たくさん勉強して欲しい、その上で固定観念を消し、1つ1つの事例を応用問題として取り組んで欲しいとの要望をだされた。
”DSの要件とは何か”では、”教師の要件”とも置き換え、それは”科学者であること””詩人であること””自分自身もクライアントであること”の3件であることを、芸術、文学、科学の分野の人たちの言葉や作品などを例にあげ先生が実践されてきたこと、考えられてきたことを交えながら展開された。

4.発達障害を持つ子供の理解と対応

講師:名越 斉子 先生
[内容]
障害とは何か、その中の発達障害とは何かについて、歴史的背景も含めながらのお話から始まり、発達障害(知的障害、脳性まひ、てんかん、言語障害、自閉症、ADHD、LD)それぞれの特性や必要とされる対応について、具体的な事例をあげながらの講義だった。
最後に、サポートをする人に大切にして欲しいこととして、<子どもの事を知る努力をする><その子どもの障害について正しい理解を持つ><分からないことは親や専門家に何でも聞く><けじめをつけることを意識する>ことをあげられ、事例を織り交ぜながらのお話があった。

5.不登校…概論およびDSとしての留意点

講師:馬場 康宏 先生
[内容]
まず、不登校についての定義、タイプ、原因、症状について、文部省が定めたものと、不登校の研究書からまとめた形で話された。相談治療については、いろいろな研究はありのままの子どもの状態を捉えるときの1つの目安にすぎないこと。援助者自身が悩み考えて、子どもたちにぶつけてみて、また悩んで…という中で、解決していけることがあり、それが援助者自身の力になることを力説された。
DSへのメッセージでは、参加者同士の話し合いを2回設けつつネットワークと共助連の意義、DSの効果(子どもにとって、家族にとって、ネットワークとの関連で)、DSの具体的活動について話された。
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